ホルモン陽性乳がん

乳がんにある4つのタイプ。
その中で最も多いのが ホルモン陽性乳がん です。
正式には「ホルモン受容体陽性乳がん」と言います。

これは、女性ホルモンをエサにして増えるタイプの乳がんです。

少しイメージしやすく言うと、このタイプの乳がんは
女性ホルモンを食べる「口」 のようなものを持っています。

女性ホルモンを食べたがん細胞は

「栄養が来た」

と認識して増えようとします。


女性ホルモンは体にとって大切なもの

女性ホルモン(エストロゲン)は、本来とても大切な物質です。

・月経
・妊娠
・出産
・骨の健康
・肌の状態

など、女性の体をさまざまな面で支えています。

乳房も女性ホルモンの影響を受ける臓器です。
思春期に胸が大きくなるのも、このホルモンの働きによるものです。

しかし、ホルモン陽性乳がんはこのエストロゲンを利用して大きくなります。


がん細胞についた「口」

ホルモン陽性乳がんの細胞がもつ女性ホルモンを食べる口の正式名称は

エストロゲン受容体(ER:Estrogen Receptor)

です。

受容体とは、特定の物質を受け取る場所のことです。

血液の中を流れてきた女性ホルモン(エストロゲン)がこの受容体にくっつくと、
がん細胞は

「増えなさい」

という信号を受け取ります。

そのため、ERを持つ乳がんは

女性ホルモンを食べる口を持った乳がん

とイメージすることができます。


もう一つの受容体は「ホルモンの影響を受けている印」

ホルモン陽性乳がんでは、実はもう一つ受容体が登場します。

それが

プロゲステロン受容体(PgR:Progesterone Receptor)

です。

PgRは、ERのようにホルモンを食べる口としての役割はもっていません。

実はPgRは、エストロゲンを食べて、がんが増殖した際に作られることが多い受容体です。

つまり

エストロゲンを食べる

ERが刺激される

PgRが作られる

という流れがあります。

そのためPgRは

「この乳がんは女性ホルモンの影響を受けていますよ」という印

のような役割を持っています。

そのため乳がんの検査では

・ER(エストロゲン受容体)
・PgR(プロゲステロン受容体)

がそれぞれあるかどうかを調べます。

そして、このどちらかが陽性の場合、その乳がんは

ホルモン陽性乳がん

と呼ばれます。


だからホルモン療法が効く

このように、ホルモン陽性乳がんには「女性ホルモンをエサにして増える」という特徴があります。

そして、この特徴を利用した治療が

ホルモン療法(内分泌療法)

です。

ホルモン療法には大きく2つの方法があります。

ひとつは
女性ホルモンを減らす方法。

もうひとつは
がん細胞の口(ER)をふさいでしまう方法。

口がふさがれると、女性ホルモンがあってもがん細胞はそれを利用できません。

するとがん細胞は栄養を取り込めなくなり、増えにくくなります。

つまりホルモン療法はがんに対する兵糧攻めのような戦い方

とも言えます。


乳がんの中でもゆっくり大きくなるタイプ

ホルモン陽性乳がんには、もう一つ特徴があります。

それは、比較的 ゆっくり大きくなることが多い という点です。

もちろんすべての人が同じではありませんが、
他のタイプの乳がんと比べると、長い時間をかけて増えることが多いとされています。

そのため、治療も短期間で終わるものだけではなく、
長く再発を防いでいく治療 が行われることがあります。

たとえばホルモン療法は、5年から10年続けることが推奨されています。

長く感じるかもしれませんが、ホルモン陽性乳がんは10年経ってから再発することもあり、
ホルモン療法を継続することは再発を防ぐためにとても大切 です。


乳がんの中でも経過が良いことが多いタイプ

ホルモン陽性乳がんは、乳がんの中でも 比較的予後が良いことが多いタイプ とされています。

ホルモン療法(内分泌療法)という有効な治療が存在し、

他のタイプの乳がんと比べると 比較的ゆっくり大きくなることが多い

そのため、がんの大きさや広がりなどの条件によっては、
抗がん剤を使わずに治療できることもあります。

もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。
乳がんの治療は、がんの大きさ、広がり、年齢、遺伝子検査の結果など、さまざまな情報をもとに一人ひとり決められます。

それでも全体として見ると、ホルモン陽性乳がんは 多くの方が再発なく過ごされるタイプです。

乳がんと診断されると、不安な気持ちでいっぱいになると思います。
しかし、乳がんにはさまざまなタイプがあり、それぞれに合った治療があります。

自分の乳がんの特徴を知ることは、これからの治療を理解する大切な第一歩です。
わからないことは主治医と相談しながら、少しずつ理解していきましょう。

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