乳がんでなぜ命に関わるのか
少し重いテーマですが、知っておくと治療の意味がよく分かります。
実は「乳房のしこり」だけでは、人は亡くなりません。
乳房は、心臓や脳のように「ないと生きていけない臓器」ではないからです。
では、なぜ乳がんが命に関わる病気なのか。
答えは「転移」です。
がん細胞が血管やリンパ管(体の排水管)に乗って、ほかの臓器に飛んでいき、そこで増えてしまうこと。
乳がんが転移しやすいのは → 骨、肺、肝臓、脳
いずれも「ないと生きていけない」「働きが落ちると生活が崩れる」場所です。
「乳がんは場所を奪う」
転移したがんが増えると、その臓器の正常な細胞の居場所がなくなっていきます。 つまり、仕事ができなくなっていく。
肺なら呼吸が苦しくなる。 肝臓なら体に毒素がたまる。 脳なら、まひやけいれんが出る。
これが、乳がんで命に関わる本当の理由です。
だから治療は「手術だけ」では終わりません。
転移を防ぐのが肝要です。
目に見えないレベルで、すでに血管にこぼれた「がんのタネ(微小転移)」があるかもしれない。
これを芽が出る前にやっつけるのが、抗がん剤やホルモン療法といった「全身治療」です。
この2つを組み合わせて、転移を防ぐ。
転移をしたとしても、全身治療で生きるための細胞の場所を守る。
「乳がん=命に関わる」と短絡的に考える時代は、終わりつつあります。
不安をなくすことはできなくても、霧を晴らすことはできます。