乳房の変化に気づいたら
乳房に痛みがあったり、しこりのようなものに触れたりすると、乳がんではないかと不安になるかもしれません。
ただ、乳房の変化には、女性ホルモンの影響や良性の病気によるものもあります。症状があるからといって、すぐに乳がんと決まるわけではありません。
一方で、乳がんは痛みを伴わないことが多く、「痛くないから大丈夫」ともいえません。受診を考えるうえで大切なのは、痛みの有無だけでなく、これまでと違う変化があるかどうかです。
主な症状は、乳房のしこり
乳がんの代表的な症状は、乳房のしこりです。入浴中や着替えのときに気づき、受診につながることがあります。
乳がんのしこりには、硬い、周囲の組織とくっついて動きにくい、表面がでこぼこしている、といった特徴がみられます。痛みがなく、少しずつ大きくなる場合もあります。
ただし、こうした特徴はあくまで傾向です。触った感触だけで、良性か悪性かを見分けることはできません。
しこりの原因には、線維腺腫などの良性の病気もあります。「しこりがあるから乳がんだ」と考える必要はありませんが、「やわらかいから」「よく動くから」と自己判断せず、新しく気づいたしこりは乳腺外科で相談してください。
しこり以外にみられる症状
乳頭から分泌物が出る
乳頭から液が出たり、下着に分泌物の跡がついていたりして気づくことがあります。
特に、片側の乳頭から血の混じった分泌物が出る場合は、受診が必要です。良性の病気でも起こりますが、乳がんが原因のこともあります。
白っぽい分泌物などは、ホルモンの影響で出る場合もあります。ただし、色だけで原因は判断できません。片側だけから出る、触ったり絞ったりしていないのに出る、繰り返し続く、といった場合も相談してください。
乳房の皮膚がくぼむ、引きつれる
乳房の皮膚にえくぼのようなくぼみができたり、一部が引っ張られたように見えたりすることがあります。
鏡の前で腕を上げると、変化がわかりやすくなる場合があります。左右を見比べながら、以前はなかったへこみや形の変化がないか、確認してみてください。
また、乳房が赤く腫れたり、皮膚がむくんでオレンジの皮のように見えたりすることもあります。炎症などでも起こる症状ですが、乳がんとの区別が必要なため、早めに受診しましょう。
乳頭がへこむ、ただれる
以前は出ていた乳頭がへこんできた場合や、乳頭・乳輪の湿疹やただれが治らない場合も、診察を受けてください。
乳頭のへこみは、生まれつきみられることもあります。気をつけたいのは、新たに起こった変化です。
乳頭や乳輪の治りにくい湿疹には、パジェット病という乳がんの一種が隠れている場合があります。湿疹だと思っていても改善しないときは、自己判断で様子を見続けないことが大切です。日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」
脇の下にしこりや腫れがある
乳房には変化を感じず、脇の下のしこりに気づくこともあります。
脇の下のリンパ節は、感染や炎症などでも腫れます。一方で、乳がんがリンパ節に転移して腫れる場合もあります。しこりが続く、大きくなるといった変化があれば、乳腺外科で相談してください。
乳がん以外でも、乳房は変化する
乳房は、月経や妊娠、授乳などに伴って変化します。月経前に両側の乳房が張って痛み、月経が始まると落ち着く、といった症状は、ホルモンの影響でよくみられます。
また、乳腺症によって、しこりのような感触や痛みが出ることもあります。体重の増減で、乳房の大きさや形が変わることもあるでしょう。
こうした変化のすべてを、乳がんと結びつけて心配する必要はありません。ただ、以前と症状が違う、一部分だけにしこりがある、変化が続いている場合は、月経や体調のせいと決めつけずに相談してください。
しこりかどうか、自分ではよくわからないことがほとんどです。病院に行く理由は、「ここが気になる」というだけでも十分ですよ。
症状がないまま見つかることもある
乳がんは、必ず自分で気づける症状が出るわけではありません。しこりや痛みがなく、検診のマンモグラフィで見つかることもあります。
そのため、自分で乳房の変化に気を配ることに加えて、対象となる年齢や推奨される間隔に沿って検診を受けることが大切です。
ただし、すでに気になる症状がある場合は、検診ではなく医療機関を受診してください。最近の検診で異常を指摘されていなくても、新たな症状があれば相談しましょう。
検診については、No.1016「乳がん検診」で詳しく解説します。
どのタイミングで受診すればいい?
次のような変化に気づいたら、乳腺外科を受診してください。
- 新しく乳房のしこりに気づいた
- 乳頭から血の混じった分泌物が出た
- 片側の乳頭から、自然に分泌物が出る状態が続いている
- 乳房の皮膚にくぼみや引きつれができた
- 乳房に赤みや腫れが出た
- 乳頭が新たにへこんだ、乳頭や乳輪のただれが治らない
- 脇の下のしこりが続く、大きくなっている
この一覧に当てはまらなくても、「前とは違う」「どうしても気になる」ということがあれば相談して構いません。うまく説明できないときは、いつから、どのあたりが、どのように変わったと感じるのかを伝えてください。
乳房の変化には、治療の必要がないものもあります。その区別をつけるためにも、気になる症状を一人で判断しようとせず、診察を受けて確かめましょう。
※この記事は一般的な医学情報をお伝えするものです。個別の症状や検査の必要性については、医療機関で相談してください。