VIKTORIA-1試験 ── 新薬ゲダトリシブ、ホルモン陽性の進行乳がんに新たな光?

ASCO2026特集、第4弾。シアトルの Sara Hurvitz 先生が発表した VIKTORIA-1(ヴィクトリア・ワン)試験です。

ホルモン療法を助ける新しい分子標的薬「ゲダトリシブ」を、いまの標準治療と比べた研究。とても良い結果を残したみたいですよ😊 さっそく解説にいきましょう。

ホルモン陽性乳がんが「ホルモン以外」で増えるとき

私の記事や投稿でお伝えしてきたのは、ホルモン受容体陽性乳がんは、エストロゲン(女性ホルモン)を”食べて”増える、ということ。

でも実は、ホルモン療法があまり効かないホルモン陽性乳がん——とくにホルモン療法中や、終えたあとに再発した乳がんでは、「エストロゲンを食べる」以外の、増殖を促す刺激が入ってきていると考えられています。

がん細胞が刺激を受けると、「あれがああなって、それがこうなって」増殖していきます(笑)。この増殖までの道のりに、今回の新薬が関係します。

キーワードは「PAM経路」

もう少し深く。この道のりを理解するには、3つのキーワードが必要です。

増殖に欠かせない3つのタンパク

    • PI3K(ピーアイスリーケー)
    • AKT(エーケーティー)
    • mTOR(エムトール)

ついていけないよ!という方は、「がんが増えるのには段階があるんだな〜」くらいでOKです。

この3つの頭文字をとって、増殖までの道のりを「PAM(パム)経路」と呼びます。このパムちゃんのどれか一つを止める薬を使うだけでも、増殖力は一気に弱まります。

PAM経路を止める薬(これまで)

    • PI3K阻害薬:アルペリシブ(※日本未承認)
    • AKT阻害薬:カピバセルチブ(トルカプ)
    • mTOR阻害薬:エベロリムス(アフィニトール)

これらは、転移・再発したホルモン陽性HER2陰性の乳がんに使われてきました。

そしてもう一つのキーワードが、PIK3CA(ピックスリーシーエー)遺伝子変異。この設計図の異常があるがん細胞は、パムちゃん(PAM経路)を、刺激がなくてもどんどん活性化してしまいます。つまり、めちゃくちゃ増えてしまう。だからPIK3CA変異をもつ乳がんでは、PAM経路のどこかを止める薬が、より必要だと考えられています。

そして今回のゲダトリシブは、このPAM経路を全部まとめて止めちゃうすぐれもの。1か所だけでなく、丸ごと、です。

VIKTORIA-1試験で比べたこと

今回の試験では、PIK3CA遺伝子変異をもつ、転移・再発したホルモン陽性HER2陰性乳がんの方のうち、ホルモン療法とCDK4/6阻害薬(アベマシクリブ〔ベージニオ〕やパルボシクリブ〔イブランス〕など)が効かなくなってしまった方を、3つのグループに分けて比べました。

3つのグループ

    • ① ゲダトリシブ+フルベストラント(フェソロデックス)+パルボシクリブ(3剤併用)
    • ② アルペリシブ+フルベストラント(海外での現在の標準治療)
    • ③ ゲダトリシブ+フルベストラント(2剤併用)

つまり——転移・再発したホルモン陽性HER2陰性乳がんで、ホルモン療法とCDK4/6阻害薬が効かなくなった方には、ゲダトリシブとフルベストラントの組み合わせが、今までの治療より長く効いてくれることがわかったのです。

ブレきゃん!

新しい薬が、いまの標準薬より”勝った”——しかも効果はおよそ2倍。これは素直に明るいニュース。経路を1か所ずつ狙うんじゃなく、まとめて止めにいく、という発想が形になった研究なんだ。

ただし、注意点

ブレきゃんからのメッセージ

それでも、新しい薬が研究され、しかも今までの約2倍という結果が出たのは、とても嬉しいこと😳。

転移・再発の治療は「効かなくなったら、次の手へ」の連続です。その”次の一手”の引き出しが増えることは、患者さんの未来の選択肢が増えること。さらに研究が進んで、日本でも早く使えるようになるといいですね。

※この記事は、学会(ASCO2026)で発表された段階のデータをもとにしています(論文化前)。対象や数値は今後変わる可能性があります。

※この記事は一般的な医学情報です。実際の治療方針は、病状・検査結果・体調・価値観によって異なります。必ず主治医と相談してください。

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