PD-1とPD-L1

PD-1とPD-L1

「手術の前に、免疫チェックポイント阻害薬と抗がん剤を組み合わせていきましょう」

トリプルネガティブ乳がんで、こう言われた方もいるのではないでしょうか。 聞きなれない言葉に、なんとなく身構えてしまいますよね。

今日はこの治療のカギになる「PD-1」と「PD-L1」を、ブレきゃん流にやさしく解説します。

まず「免疫」のお話から。

私たちの体の細胞には、DNAという設計図があります。 細胞は毎日分裂していますが、そのなかでコピーのエラーが起き、不良品ができてしまうことも。

そんなとき、体の中の警備員のような細胞(免疫細胞)が、不良品を見つけてやっつけてくれます。 これが「免疫」です。

ところが、がん細胞のなかには、この免疫にブレーキをかけて逃げるものがいます。

その仕組みが「PD-1」と「PD-L1」です。

もともとこれは、免疫が正常な細胞をまちがって攻撃しないための仕組みなんです。

PD-L1 … 細胞が見せる「私は仲間ですよ」という“免許証” PD-1 … 免疫細胞がその免許証を読み取る“センサー”

センサーが免許証を読み取ると、「攻撃しなくていいよ」とブレーキがかかります。

がん細胞は、これを悪用します。

本来なら持っていないはずの「PD-L1(にせの免許証)」を掲げて、 免疫細胞に「仲間だ」と勘違いさせ、 攻撃の手をゆるめさせてしまうんですね。

そこで登場するのが免疫チェックポイント阻害薬。

センサー(PD-1)か免許証(PD-L1)のどちらかをふさいで、 にせの免許証を読み取れないようにする—— つまり「ブレーキを外す」お薬です。

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)… センサー(PD-1)をふさぐ アテゾリズマブ(テセントリク)… 免許証(PD-L1)をふさぐ

ブレーキが外れた免疫細胞は、本来の仕事を取り戻して、がんを攻撃してくれるようになります。

ここで大事なポイントを2つ。

『手術の前後の治療』では、PD-L1の有無に関係なく使えます(KEYNOTE-522試験)。 『転移・再発の治療』では、PD-L1が陽性の方が対象。検査で調べてから決めます(KEYNOTE-355試験/IMpassion130試験)。

そしてもうひとつ。

ブレーキを外された免疫は、ときに自分の正常な臓器まで攻撃してしまうことがあります(irAE:免疫関連有害事象)。 全身のさまざまな臓器で起こることがあるので、 「だるい」「動悸が続く」「下痢が止まらない」—— そんな小さな変化も、遠慮なく主治医に伝えてくださいね。

しかもこのirAE、治療が終わって何年も経ってから起こることも。 「昔の治療だから関係ない」と思わず、話していただくことが早い対応につながります。

難しい言葉が並ぶ治療ですが、しくみが分かると少し安心できますね😊

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