テガフール・ギメラシル・オテラシル
てがふーるぎめらしるおてらしる (ティーエスワン(S-1))
DNAの材料の工場を止める飲み薬。3成分の組み合わせで、効果を長く・副作用を軽くする工夫がされているよ!
基本情報
- 分類
- フッ化ピリミジン系(経口抗がん剤)
- はたらき
- DNAの材料に偽物として紛れ込む(代謝拮抗)
- のみ方・打ち方
- 飲み薬
- 使う場面
- ホルモン陽性 手術のあと(再発リスクが高いとき)・転移・再発
よくある副作用
- 流涙(涙が出やすい・目のかすみ)
- 色素沈着(指先・口の周り)
- 下痢
- 口内炎
- 倦怠感
- 吐き気・食欲不振
注意したい副作用
- 重度の骨髄抑制
- 重度の下痢・脱水
- 涙道閉塞(流涙が続く場合)
どんな人が対象?
ホルモン陽性HER2陰性で高リスクの術後追加治療、もしくは 進行・再発乳がんで、点滴以外の抗がん剤の選択肢として 使われます。
・術後追加:POTENT試験を根拠に、ホルモン療法と一緒に1年間内服
・進行・再発:他の薬で効きにくくなったあとの選択肢
術後追加では、ベージニオ(アベマシクリブ)と並ぶ「高リスク術後の二大選択肢」になります。詳しくは No.3100 TS-1とベージニオどっち? を。
どうやって効く?
ティーエスワンの本体「テガフール」は、体内で 5-FU(フルオロウラシル) に変わって働きます。
5-FU は、DNAの材料のひとつ「T」を作る工場(チミジル酸合成酵素)の中に入り込み、工場を動かなくしてしまいます。
「T」が足りなくなったがん細胞は、設計図(DNA)をコピーできなくなり、分裂が止まります。
(こういう薬を 代謝拮抗薬 と呼びます。カペシタビンと同じ仲間です。)
3成分の意味
ティーエスワンには3つの成分が入っています:
・テガフール:体内で 5-FU に変換される成分(本体)
・ギメラシル:5-FU の分解を抑え、効果を長持ちさせる
・オテラシル:消化管への影響を減らし、下痢を軽減
3つが組み合わさることで、効きながら副作用を軽くする設計です。
特徴的な副作用:色素沈着と流涙
・色素沈着:指先・爪・口の周りが黒っぽくなる。治療終了後に元に戻ります
・流涙:涙が出やすくなる、目がかすむ。重度になると 涙道(鼻涙管)が狭くなって閉塞 することがあり、放置すると眼科治療が必要になります。症状が続いたら早めに主治医・眼科に相談してください
服薬のリズム
術後追加治療としては、「2週飲んで、1週休む」を1年間繰り返します。
進行・再発で使う場合は、「4週飲んで、2週休む」と、休薬期間が長めになります。
いずれもカレンダー管理が必要で、毎日朝晩の服用に加えてサイクルを把握しながら飲んでいきます。
食事・飲み合わせ
食事:
・食後服用(吸収が安定)
他の薬:
・ワルファリン:抗凝固効果が増強
・他のフッ化ピリミジン系:併用禁忌
妊娠・授乳
この薬は妊娠中・授乳中には使えません。使っている期間の避妊について、主治医に確認してください。