カペシタビン
かぺしたびん (ゼローダ)
細胞の設計図(DNA)の材料のひとつをつくる工場を動かなくするお薬。がん細胞は材料不足で設計図をコピーできなくなるよ!
基本情報
- 分類
- フッ化ピリミジン系(経口抗がん剤)
- はたらき
- DNAの材料に偽物として紛れ込む(代謝拮抗)
- のみ方・打ち方
- 飲み薬
- 使う場面
- ホルモン陽性・HER2陽性・トリプルネガティブ 手術のあと(再発リスクが高いとき)・転移・再発
よくある副作用
- 手足症候群(手のひら・足の裏の赤み・痛み・皮むけ)
- 下痢
- 口内炎
- 倦怠感
- 吐き気・食欲不振
- 色素沈着
注意したい副作用
- 重度の手足症候群(日常生活に支障)
- 重度の下痢・脱水
- まれに心毒性
- まれに重度の骨髄抑制
どんな人が対象?
経口の抗がん剤として、
・TNBC 術後の追加治療(pCR が得られなかった場合)
この使い方は添付文書の効能・効果には入っていませんが、2026年9月に厚生労働省の通知で「トリプルネガティブ乳がんの術前化学療法後、手術のときに浸潤がんが残っていた人の術後療法」に限って、保険の審査で認められる扱いになりました(14日のんで7日休む、を1コースとする飲み方)。効能・効果が追加されたわけではありません。
・進行・再発乳がんの治療
・HER2陽性の進行・再発で、ラパチニブとの併用(通称「ラパカペ」)
として広く使われます。
進行・再発のケースでは、副作用を見ながら 用量や休薬期間を調整して長く続ける こともよくあります。じわじわとがんの勢いを抑えながら、長く調子よく過ごせる方も多くいらっしゃいます。
どうやって効く?
カペシタビンは体内で 5-FU(フルオロウラシル) に変わって働きます。
5-FU は、DNA の材料のひとつ「T」を作る工場(チミジル酸合成酵素)の中に入り込み、工場を動かなくしてしまいます。
「T」が足りなくなったがん細胞は、設計図(DNA)をコピーできなくなり、分裂が止まります。
(こういう薬を 代謝拮抗薬 と呼びます。)
経口で飲めるので 自宅治療 が可能。通院は2〜3週ごとの診察と血液検査だけで済みます。
手足症候群との付き合い方
カペシタビン最大の悩みは 手足症候群(HFS):
・手のひら・足の裏が赤くなる、ヒリヒリする
・進行すると皮むけ・水ぶくれ・歩行困難に
・最大の予防は 保湿(尿素・ヘパリン類似物質の軟膏を1日数回)
・圧迫・摩擦・熱を避ける
詳しくは No.2025 手足症候群 を。
食事・飲み合わせ
食事:
・食後30分以内に服用(吸収が安定)
他の薬:
・ワルファリン:抗凝固効果が増強
・フェニトイン:濃度上昇
妊娠・授乳
この薬は妊娠中・授乳中には使えません。使っている期間の避妊について、主治医に確認してください。