手術ってなんのためにおこなうか、みなさんご存じですか?
「そんなの、がんを体から取り除くために決まってるじゃん!」
その通りです。からだからがんを取り除くという意味では、手術を超える治療は、今のところありません。薬でがんを小さくしても“ゼロ”にするのは簡単ではないなか、手術は見えているがんを丸ごと取りきってしまう——それだけ強力な治療です。
でも、手術のすごさは、それだけじゃないんです。
手術は唯一、がんの全体像を実際に、肉眼で確認できる検査でもあります。
- CTやMRI、PETでは、画像による形態的な情報からの推測しかできない
- 針生検やマンモトーム生検では、がんの一部しか見ることができない
そう、手術は最強の治療であり、最強の検査なのです。
では、その“最強の検査”として、いったい何が分かるのか——いっしょに見ていきましょう。
手術後の病理検査で分かること
手術で取り出した組織は、そのあと病理検査に回されます。ここで、次のようなことが“確定”します。
術後病理で確定すること
- 最終的なしこりの大きさ(pT)
- リンパ節転移の有無と個数(pN)
- 浸潤の有無(非浸潤癌か浸潤癌か)
- グレード(3段階)
- ER/PgR/HER2/Ki-67の最終値
- 脈管侵襲(血管・リンパ管に入っているか)
- 切除断端(取り残しがないか)
- 特殊型かどうか
これらをすべて総合して、最終的なpStage(病理学的ステージ)が決まります。
(一つひとつの言葉の意味は、No.1025 病理診断レポートの読み方 でやさしく解説しています)
なぜ術前の予測と違うことがあるの?
さきほどお話ししたとおり、針生検で見られるのはがんの“一部”だけ。いっぽう手術では、その“全体”を確認できます。この違いが、ポイントなんです。
針でほんの少し取った組織と、しこり全体とでは、見えてくるものが違うことがあります。
- 場所によってサブタイプが少し違う(モザイク状になっている)
- 大きさの見積もりが違う(画像での予想 vs 実際の測定)
- 隠れていた浸潤が見つかる
- 想定していなかったリンパ節転移が見つかる
だから、「術前の説明と、術後で少し変わった」ということが起こり得ます。これは説明ミスでも、誰かのせいでもありません。より正確な“全体像”が見えたから、なんです。
術前と術後で、サブタイプが変わることも
頻度は高くありませんが、術前の針生検と術後とで、サブタイプの判定が変わることがあります。
- 針生検:ホルモン陰性 → 手術後:弱いながら陽性
- 針生検:HER2 2+/FISH陰性 → 手術後:HER2 3+
こうした場合は、より多くの組織で調べた術後の判定を優先することが多いです。
判定が変わると、ドキッとしてしまうかもしれません。でもこれは「最初が間違っていた」のではなく、情報がより正確に更新されたということ。落ち込まずに、新しい情報をもとに、これからの治療を主治医と一緒に考えていきましょう。
まとめ
※この記事は一般的な医学情報です。実際の治療方針は、病状、検査結果、体調、価値観によって異なります。必ず主治医と相談してください。