ドキソルビシン
商品名:アドリアシン📅 投与方法・期間
3週ごとに点滴。AC療法(ドキソルビシン+シクロホスファミド)として通常4サイクル。
標準的な治療期間:12週(4サイクル)
⚠️ よくある副作用
- 脱毛(ほぼ100%)
- 強い吐き気・嘔吐(制吐剤フル装備で対応)
- 好中球減少
- 倦怠感
- 口内炎
- 尿が赤く変色(薬の色が出るだけで害なし)
🚨 まれだが注意したい副作用
- 心毒性(生涯総投与量に上限あり)
- 発熱性好中球減少症
- まれに二次性白血病
- 血管外漏出(皮膚壊死の危険、点滴ミスは要注意)
🍽 食事・飲み合わせ
他の薬:
- トラスツズマブ:心毒性が増強される可能性、同時投与は避ける
🤰 妊娠・授乳について
この薬は妊娠中・授乳中は禁忌です。服用期間中の避妊について必ず主治医にご確認ください。
どんな人が対象?
化学療法レジメンの屋台骨。多くの患者さんが一度は経験する薬です。
- AC療法(ドキソルビシン+シクロホスファミド):術前・術後の標準
- AC→T療法:AC のあとにタキサンを継ぐ最強クラスのレジメン
- 進行・再発でも単剤・併用で使われる
エピルビシンの「兄」のような関係で、欧米では昔から AC、日本ではエピルビシンを使った EC・FEC が好まれてきました(差はわずか)。
どうやって効く?
がん細胞が増えるには DNA を正しくコピー する必要があります。
DNAはとても長い「紐」を巻き取ったような構造をしていて、コピーするには一度 ほどく 必要があります。この「ほどく作業」を担当しているのが トポイソメラーゼ という酵素。
ドキソルビシンはこのトポイソメラーゼの働きを止めるので、がん細胞は DNA をうまくコピーできずに死んでしまいます。
増殖速度が速いがん細胞ほどダメージを受けるため、髪・骨髄・粘膜など増殖が速い正常細胞も一時的に影響を受けます(これが副作用の正体)。
副作用:強い吐き気
ドキソルビシンは催吐性が高い薬(最強クラス)。投与日と翌日数日が最もきついため、
- 3剤併用の制吐剤(5HT3拮抗薬・NK1拮抗薬・デキサメタゾン)が標準
- それでも辛い方には、オランザピン追加など
詳しくは No.2022 催吐性リスク、No.2023 制吐剤 を。
心毒性:生涯総投与量の管理
ドキソルビシン最大の特徴は心臓への影響。アンスラサイクリン全体の累積量で計算し、
- ドキソルビシン換算 500mg/m² 程度 が生涯上限の目安
- AC療法 4サイクルで 240mg/m² 程度(上限の半分)
トラスツズマブも心毒性があるため、HER2陽性で抗HER2療法を予定している場合は、AC終了後にタキサン+抗HER2 という順番にして、心毒性が重ならないように配慮します。
尿が赤くなる
投与後 1〜2日、尿が赤〜オレンジ色 に変色します。これはドキソルビシン本体の赤い色がそのまま尿に出るだけで、血尿ではなく無害。びっくりしないで大丈夫です。
お金の話
AC療法 1サイクルで3割負担 約2.5万円、4サイクル合計で10万円程度。化学療法期間中は限度額認定証の対象になります。
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※ この情報は一般的な参考情報です。実際の治療方針・用量・期間は、病状・体調・他のお薬との兼ね合いで異なります。必ず主治医と相談してください。
最終更新:2026-05-18