TNM分類
てぃーえぬえむぶんるい(TNM classification)
ステージを決めるためにつかわれる3つの指標のこと。しこりの大きさがT因子、わきの下などのリンパ節転移の評価がN因子、離れた臓器への転移の有無がM因子。
この3つを組み合わせて、はじめてステージが決まるんだ。
専門的な説明を見る
がんの広がりを、しこりの大きさ(T)、領域リンパ節への転移(N)、遠隔転移の有無(M)の3つの軸で表したもの。この3つの組み合わせからステージが決まる。
- 関係するひと
- 乳がんと診断されたひと全員
- 決まるタイミング
- 手術前(診断がついたとき)と、手術後の2回
- 調べる方法
- マンモグラフィ乳房超音波検査造影CT検査センチネルリンパ節生検手術の結果
3つのものさし
しこりの大きさと、胸壁や皮膚への広がりで決まります。大きさは浸潤している部分の最も大きい直径で測ります。
TX 調べられなかった状態
T0 しこりが見つからない状態
Tis 大きさによらず、がんが乳管や小葉の中にとどまっていて、外に出ていない状態。しこりを伴わない乳頭のPaget病もここに入ります
T1 しこりの大きさが2cm以下の状態。さらに細かく、T1mi(1mm以下)、T1a(1mmを超えて5mm以下)、T1b(5mmを超えて10mm以下)、T1c(10mmを超えて20mm以下)に分かれます
T2 しこりの大きさが2cmより大きく、5cm以下の状態
T3 しこりの大きさが5cmより大きい状態
T4a しこりの大きさに関わらず、しこりが胸壁に食い込んだ状態。胸壁とは大胸筋の先にある肋骨・肋間筋・前鋸筋のことで、大胸筋に食い込んだだけではT4aになりません
T4b しこりの大きさに関わらず、皮ふがえぐれている(潰瘍)、もとのしこりとは別に同じ側の皮ふに小さなしこりが散らばってできている(皮膚衛星結節)、皮ふがむくんでいる(浮腫。オレンジの皮のようにブツブツして見えることがあります)
T4c T4aとT4bの両方がある状態
T4d 乳房の皮ふが広い範囲で赤く、板のように硬くむくんでいる状態(炎症性乳がん)。しこりとして触れないことも多いです
皮膚の浅い層(真皮)だけに広がっている場合はT4になりません。皮膚のくぼみや乳頭のへこみだけでもT4になりません。
乳房の中にしこりが複数あるときは、いちばん大きいもので判定します。左右同時に見つかったときは、左右それぞれ別に判定します。
一覧で確かめる
| T | 大きさ | 胸壁への固定 | 皮膚の浮腫・潰瘍・衛星皮膚結節 |
|---|---|---|---|
| TX | 評価できない | ||
| T0 | しこりを認めない | ||
| Tis | 非浸潤癌またはPaget病 | ||
| T1 | 20mm以下 | なし | なし |
| T2 | 20mmを超えて50mm以下 | なし | なし |
| T3 | 50mmを超える | なし | なし |
| T4a | 大きさを問わない | あり | なし |
| T4b | 大きさを問わない | なし | あり |
| T4c | 大きさを問わない | あり | あり |
| T4d | 炎症性乳がん |
TNM悪性腫瘍の分類第8版(UICC 編)を元に作成
わきの下(腋窩)、胸骨のわき(内胸)、鎖骨の上(鎖骨上)のリンパ節に、転移があるかどうかで決まります。ここでいう「転移あり」は、触診または画像検査で見つかり、転移が強く疑われるものを指します。
NX 調べられなかった状態
N0 リンパ節転移がない状態
N1 わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)によく動くリンパ節転移がある状態
N2a わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)に動きの悪い(リンパ節どうしや周囲とくっついている)リンパ節転移がある状態
N2b 胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)に転移があるが、わきの下のリンパ節には転移がない状態
N3a わきの下の最も深いリンパ節(腋窩リンパ節 Level III)に転移がある状態(腋窩リンパ節 Level I または Level II に転移がある場合も含む)
N3b わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)と胸骨のそばのリンパ節の両方に転移がある状態
N3c 鎖骨の上のリンパ節(鎖骨上リンパ節)に転移がある状態(他のリンパ節に転移がある場合も含む)
わきの下のリンパ節は、小胸筋という筋肉を基準に3つのレベルに分かれます。Level Iは小胸筋の外側、Level IIは小胸筋の裏側と胸筋のあいだ、Level IIIは小胸筋の内側(鎖骨の下)です。下の表の「わきの下」はLevel IとII、「わきの下の奥」はLevel IIIを指します。
乳房の中にあるリンパ節(乳腺内リンパ節)は、わきの下のレベルIとして数えます。首のリンパ節や反対側の胸骨のわきのリンパ節に転移があるときは、遠隔転移(M1)として扱います。
一覧で確かめる
| N | わきの下(動く) | わきの下(固まっている) | 胸骨のわき | わきの下の奥 | 鎖骨の上 |
|---|---|---|---|---|---|
| NX | 評価できない | ||||
| N0 | なし | なし | なし | なし | なし |
| N1 | あり | なし | なし | なし | なし |
| N2a | なし | あり | なし | なし | なし |
| N2b | なし | なし | あり | なし | なし |
| N3a | 問わない | 問わない | 問わない | あり | なし |
| N3b | どちらかあり | あり | なし | なし | |
| N3c | 問わない | 問わない | 問わない | 問わない | あり |
TNM悪性腫瘍の分類第8版(UICC 編)を元に作成
乳房から離れた臓器に転移があるかどうかで決まります。2つに分かれるだけの、いちばんシンプルなものさしです。
M0 乳房から離れた臓器に転移がない状態
M1 乳房から離れた臓器に転移がある状態
| M | 意味 |
|---|---|
| M0 | 遠隔転移なし |
| M1 | 遠隔転移あり |
転移が見つかった臓器は、記号を添えて書かれることがあります。肺はPUL、骨はOSS、肝臓はHEP、脳はBRA、離れたリンパ節はLYM、骨髄はMAR、胸膜はPLE、腹膜はPER、副腎はADR、皮膚はSKI、その他はOTHです。骨に転移があれば M1(OSS) と書かれます。
Mが1になると、TとNにかかわらずステージIVになります。
手術で取り出したものを顕微鏡で調べて転移が確認されたときは pM1 と書きます。pM0・pMXという書き方はしません。
TNM悪性腫瘍の分類第8版(UICC 編)を元に作成
手術で取り出したものを顕微鏡で調べて決めます。大きさは浸潤している部分だけを測るので、乳管の中にとどまっている部分が大きくても、飛び出している部分が5mmならpT1aです。
pTX しこりの大きさが評価できない状態
pT0 手術でとってきた乳房の中にしこりがない状態
pTis すべてのがん細胞が乳管や小葉の中におさまっている状態。しこりを伴わない乳頭のPaget病もここに入ります
pT1mi 乳管や小葉から飛び出ているがん細胞の最大径が1mm以下の状態(微小浸潤)
pT1a 乳管や小葉から飛び出ているがん細胞の最大径が1mmより大きくて5mm以下の状態
pT1b 乳管や小葉から飛び出ているがん細胞の最大径が5mmより大きくて10mm以下の状態
pT1c 乳管や小葉から飛び出ているがん細胞の最大径が10mmより大きくて20mm以下の状態
pT2 乳管や小葉から飛び出ているがん細胞の最大径が20mmより大きくて50mm以下の状態
pT3 乳管や小葉から飛び出ているがん細胞の最大径が50mmより大きい状態
pT4a しこりの大きさに関わらず、しこりが胸壁に食い込んだ状態。胸壁とは大胸筋の先にある肋骨・肋間筋・前鋸筋のことで、大胸筋に食い込んだだけではT4aになりません
pT4b しこりの大きさに関わらず、皮ふがえぐれている(潰瘍)、もとのしこりとは別に同じ側の皮ふに小さなしこりが散らばってできている(皮膚衛星結節)、皮ふがむくんでいる(浮腫。オレンジの皮のようにブツブツして見えることがあります)
pT4c T4aとT4bの両方がある状態
pT4d 乳房の皮ふが広い範囲で赤く、板のように硬くむくんでいる状態(炎症性乳がん)。しこりとして触れないことも多いです
pT4a〜pT4dは、手術前のT4a〜T4dと同じです。
手術で取り出したリンパ節を顕微鏡で調べて決めます。病理レポートには「3/15」のように、調べた数と転移のあった数が書かれます。
pNX リンパ節の評価ができない状態(わきの手術をしていないなど)
pN0 リンパ節転移がない状態。0.2mm以下のごく小さながん細胞のかたまりだけ(孤立腫瘍細胞)の場合もここに入り、pN0(i+)と書かれます
pN1mi わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)のうち、1〜3個のリンパ節の中に、0.2mmより大きくて(またはがん細胞の数が200個を超えていて)2.0mm以下の転移があった状態
pN1a わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)のうち、1〜3個のリンパ節の中の少なくとも一つに、2mmより大きい転移があった状態
pN1b 手術前は見つかっていなかった、胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)への転移があった状態。内胸リンパ節は手術でとられないことも多いところです
pN1c わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)のうち、1〜3個のリンパ節の中の少なくとも一つに2mmより大きい転移があり、かつ手術前は見つかっていなかった胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)への転移もあった状態
pN2a わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)の4〜9個のリンパ節に転移があり、少なくとも1個は2mmより大きかった状態
pN2b わきの下のリンパ節には転移が見つからなかったが、手術前から胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)への転移がわかっていた状態
pN3a わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)の10個以上のリンパ節に転移があり少なくとも1個は2mmより大きかった状態、または、わきの下の最も深いリンパ節(腋窩リンパ節 Level III=鎖骨下リンパ節)に少なくとも1個の転移があった状態
pN3b わきの下の浅いリンパ節(腋窩リンパ節 Level I または Level II)に少なくとも1個の転移があり、手術前から胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)への転移がわかっていた状態、または、わきの下の浅いリンパ節に4個以上の転移があり、手術前は見つかっていなかった胸骨のそばのリンパ節への転移もあった状態
pN3c 鎖骨の上のリンパ節(鎖骨上リンパ節)に転移があった状態
胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)は、手術でとられないことも多いところです。
判定の流れ
- しこりの大きさを測ってTを決める
- リンパ節に転移があるかを調べてNを決める
- 離れた臓器への転移があるかを調べてMを決める
- 3つの組み合わせからステージが決まる
アンケート
あなたのTは?
手術を受けた方は手術後の値でお答えください。記号が分からないときは、下の「表から選ぶ」からどうぞ。匿名です。誰が答えたかは記録されません。
表から選ぶ
記号が分からないときは、あてはまるものを押してください。
答えると、同じ結果だった人の割合が見られます
匿名で、誰が答えたかは記録されません。
あなたのNは?
手術を受けた方は手術後の値でお答えください。記号が分からないときは、下の「表から選ぶ」からどうぞ。匿名です。誰が答えたかは記録されません。
表から選ぶ
記号が分からないときは、あてはまるものを押してください。
答えると、同じ結果だった人の割合が見られます
匿名で、誰が答えたかは記録されません。
あなたのMは?
記号が分からないときは、下の「表から選ぶ」からどうぞ。匿名です。誰が答えたかは記録されません。
表から選ぶ
記号が分からないときは、あてはまるものを押してください。
答えると、同じ結果だった人の割合が見られます
匿名で、誰が答えたかは記録されません。
関連する用語
ER(エストロゲン受容体)HER2ホルモン受容体ホルモン陰性・HER2陽性乳がんホルモン陽性・HER2陰性乳がんホルモン陽性・HER2陽性乳がんPgR(プロゲステロン受容体)ステージ浸潤径微小転移炎症性乳がんセンチネルリンパ節生検