OPTIMA試験 ── 閉経前・リンパ節転移ありでも抗がん剤を省ける時代が近いかも?

みなさん、世界の腫瘍内科の祭典「ASCO(アスコ)」をご存じですか?

毎年5〜6月ごろに開かれる、あらゆるがんの最新の知見や治療法が発表される、医療者にとってはお祭りのような学術集会です。これから、ここで発表された乳がんの最新情報を、ブレきゃん流に噛み砕いてお届けしていきます。

特集の第一弾は、ロンドンの Robert Stein 先生が発表した OPTIMA(オプティマ)試験。「乳がんの抗がん剤を、できれば避けたい」——そう願う方に、希望をくれる研究です。さっそく見ていきましょう。

まず、いまの日本の「常識」から

ご存じでしょうか。いまの日本では、閉経前リンパ節に転移があるホルモン陽性・HER2陰性乳がんの方には、原則として抗がん剤を省略しないことが推奨されています。

これは RxPONDER(アールエックスポンダー)試験という研究で、「ホルモン陽性HER2陰性・リンパ節転移あり・閉経前」の方は、オンコタイプDX(抗がん剤の必要性を測る遺伝子検査)で再発スコアが低くても、抗がん剤を足したほうが再発が減る、という結果が出たからです。

つまり「閉経前 × リンパ節転移あり」は、検査スコアが低くても抗がん剤を省きにくい、とされてきました。

OPTIMA試験で、何がわかったの?

OPTIMAは、Prosigna(プロジグナ)という、オンコタイプDXとは別の遺伝子検査を使った大規模試験です。

対象は、臨床的には「抗がん剤一択」に見える高リスクの方——リンパ節転移が1〜9個(または転移ゼロでも、しこりが3cm以上)の、ホルモン陽性・HER2陰性の早期乳がん。この方たちの ROR(再発リスク)スコアを測って、こう振り分けました。

OPTIMAの分け方

    • RORスコアが高い(61以上)→ 抗がん剤 + ホルモン療法
    • RORスコアが低い(60以下)→ 抗がん剤を省いて、ホルモン療法のみ(閉経前の方は卵巣の働きを抑える治療=OFSも併用)

そして、「検査で低リスクなら抗がん剤を省く」やり方が、「全員に抗がん剤をやる」従来のやり方に劣らないかを検証しました。

一言でいうと——

「遺伝子検査で低リスクと出れば、閉経の有無やリンパ節転移の数に関係なく、抗がん剤を省ける可能性がある」

ということでした。抗がん剤を省ける人が、また増えていきそうですよね。

ブレきゃん!

このサイトの読者さんは、抗がん剤を乗り越えてきた歴戦の勇者ばかり。だからこそ分かると思うんだ——避けられるなら、避けたいよね。その選択肢が、また一つ増えるかもしれない。

ただし、実現にはまだ「3つの壁」

新しい発見はワクワクしますが、すぐに日本の診療に反映されるわけではありません。冷静に、3つの注意点を押さえておきましょう。

ブレきゃんからのメッセージ

「強く治療する」が正義だった時代から、「その人に必要な分だけ」へ。医療は確実に、やさしい方向へ進んでいます。

ただ、“減らす”という判断にこそ、ちゃんとした検査と根拠が要ります。だからこそ、主治医と「なぜ省けるのか」を一緒に確認することが、何より大切です。

新しい医療が現実に届くには、少し時間がかかります。みなさんは今できることに集中して、これからの発展を一緒に願いましょう😌

※この記事は、学会(ASCO2026)で発表された段階のデータをもとにしています(論文化前)。対象や数値は今後変わる可能性があります。

※この記事は一般的な医学情報です。実際の治療方針は、病状・検査結果・体調・価値観によって異なります。必ず主治医と相談してください。

変更内容(このテキストを丸ごとコピーして送ってください)