カルボプラチン
かるぼぷらちん (パラプラチン)
がん細胞のDNAをガッチリ結合して、コピーをできなくする「白金(プラチナ)」の抗がん剤。
基本情報
- 分類
- プラチナ系抗がん剤
- はたらき
- DNAを白金で固める
- のみ方・打ち方
- 点滴
- 使う場面
- トリプルネガティブ・遺伝性乳癌卵巣癌 手術の前・手術のあと・転移・再発
- 使われるレジメン
- J009ペムブロリズマブ併用療法(周術期) J020ペムブロリズマブ併用療法(転移・再発)
よくある副作用
- 骨髄抑制(特に血小板減少)
- 倦怠感
- 吐き気・嘔吐
- 食欲不振
- 末梢神経障害(軽め)
- 脱毛(軽め〜中程度)
注意したい副作用
- 重度の血小板減少(出血リスク)
- 過敏症反応(反復投与で増えやすい)
- 腎機能障害(シスプラチンよりは軽い)
- 聴力障害(まれ)
いま注目されている使い方
近年、TNBCの術前化学療法にカルボプラチンを加えると、pCR率や無病生存率(EFS)が改善する ことが、複数の臨床試験で示されてきています。
・PEARLY試験(韓国、ASCO 2024):5年EFS 81.9% vs 74.4%(+7.5%)
・NeoCART試験(中国、ASCO 2020):pCR 61.4% vs 38.6%
・SABCS 2025 プール解析:3試験のメタ解析でpCR・EFSとも改善を確認
KEYNOTE-522 レジメンの背景にあるのも、こうしたカルボプラチンの上乗せ効果の知見です。
どうやって効く?
「プラチナ製剤」と呼ばれるこの薬は、白金(プラチナ)原子が DNA に強く結合 して、DNA を「固めて」しまいます。固まった DNA はコピーできないので、がん細胞は分裂できずに死んでいきます。
特に BRCA変異 があるがん細胞は DNA の修復が苦手なので、プラチナの効きが良いことが知られています。
シスプラチンとの違い
効きの強さ/シスプラチン 強い/カルボプラチン 同等〜やや弱い
吐き気/シスプラチン 非常に強い/カルボプラチン 中程度
腎毒性/シスプラチン 強い(大量輸液必要)/カルボプラチン 軽い
聴力障害/シスプラチン あり/カルボプラチン 少ない
血小板減少/シスプラチン 軽い/カルボプラチン やや強い
乳がんでは カルボプラチンの方が広く使われる(副作用が日常生活に響きにくいため)。
AUC(投与量の計算)
カルボプラチンは「mg/m²」ではなく AUC(Area Under the Curve) という指標で投与量を決めます。AUC 5・AUC 6 などの値があり、患者さんの腎機能(クレアチニンクリアランス)から個別計算します。
過敏症(アレルギー反応)
カルボプラチンは 反復投与で過敏症(アレルギー反応)が増える という特徴があります:
・6サイクル目以降で出やすい
・かゆみ・じんま疹・呼吸困難など
・症状があれば即座に主治医へ
食事・飲み合わせ
他の薬:
・腎毒性のある薬(一部の抗菌薬など)
妊娠・授乳
この薬は妊娠中・授乳中には使えません。使っている期間の避妊について、主治医に確認してください。