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ペムブロリズマブ併用療法(転移・再発)

ぺむぶろりずまぶへいようりょうほう(Pembrolizumab plus chemotherapy for advanced triple-negative breast cancer)

ブレきゃん流ひとこと説明

転移・再発したトリプルネガティブ乳がんで、最初に使う治療の第一候補だよ。

免疫のブレーキを外してがんを攻撃させる薬、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)を、抗がん剤と一緒に使うんだ。抗がん剤は3種類から主治医が選ぶよ。

ただし、使えるのは腫瘍を検査して「PD-L1陽性」と分かった人だけ。抗がん剤の副作用に加えて、免疫の副作用(irAE)にも気をつける治療だよ。

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PD-L1陽性(CPS 10以上)の転移・再発トリプルネガティブ乳がんに対する、最初の薬物療法。ペムブロリズマブ(3週間に1回、最長2年)に、nab-パクリタキセル・パクリタキセル・ゲムシタビン+カルボプラチンのいずれかの抗がん剤を組み合わせます。KEYNOTE-355試験で、抗がん剤だけの治療にくらべて無増悪生存と全生存の改善が示されました。

基本情報

使う場面
PD-L1陽性(CPS 10以上)の転移・再発 トリプルネガティブ乳がん最初の薬物療法として
投与間隔
ペムブロリズマブは3週間に1回。nab-パクリタキセルは4週間のうち3週、毎週
期間
効果が続いていて、副作用が許せる限り。ペムブロリズマブは最長2年(35回)
催吐性リスク
軽度
使用される薬剤
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)nab-パクリタキセル(アブラキサン)
治療する場所
外来

治療スケジュール

最初の12週間
1日目22日目43日目64日目 ペムブロリズマブ 3週間に1回 nab-パクリタキセル 4週間のうち3週

以降も同じくり返し。ペムブロリズマブは最長2年、抗がん剤は効果と副作用を見ながら続けます。

よくある副作用

症状対処法
貧血 治療が進むほど出やすくなります。動悸や息切れ、立ちくらみが強いときは主治医へ。輸血で対応することもあります
白血球(好中球)の減少 毎週の投与なので、下がりきる前に次の投与日が来ます。血液検査で足りなければその週は休みます。熱が出たらすぐ連絡
吐き気 タキサン系では軽く、ゲムシタビン+カルボプラチンでは予防の吐き気止めを使います
脱毛 タキサン系では治療をはじめて2〜3週間後から抜けはじめます。ゲムシタビン+カルボプラチンでは少なめ。ウィッグや帽子は早めに準備
だるさ 治療が長く続くので、だるさが積み重なります。無理をせず休む。強くなってきたら主治医に伝える
手足のしびれ パクリタキセル・nab-パクリタキセルで出ます。指先から始まり、回を重ねるほど強くなります。ボタンがかけにくい、つまずくなどの支障が出る前に主治医へ
血小板の減少 ゲムシタビン+カルボプラチンで出ます。あざができやすい、歯ぐきや鼻から血が出て止まりにくいときは連絡
点滴中のアレルギー反応 パクリタキセルで起こりやすく、予防の薬を使ったうえで点滴します。点滴の最中に異変を感じたら、その場で看護師に
甲状腺の働きの変化 免疫の副作用でいちばん多いもの。動悸・汗のあと、だるさ・むくみに変わります。血液検査で見つけて、飲み薬で補います。治療が終わったあとに出ることも
皮膚の発疹・かゆみ 保湿と塗り薬で対応します。広がる、水ぶくれになる、口の中まで荒れるときはすぐ連絡

病院に連絡する目安

すぐに連絡

その他の基準

  • 手足のしびれで、ボタンがかけにくい・つまずく
  • 動悸や汗が続く、または、だるさ・むくみ・寒がりが出てきた
  • 発疹やかゆみが広がってきた
  • あざが増えた、血が止まりにくい
  • 眠れない、気分が落ち込む

迷ったら連絡してください。免疫の副作用は治療が終わったあとに出ることもあるので、治療後に気になる症状が出たときも、この治療を受けたことを伝えて相談を。

PD-L1の検査で使えるかが決まる

この治療は、がんの組織を染めてPD-L1というたんぱく質を調べ、「CPS 10以上」だった人だけに使います。KEYNOTE-355試験で、ペムブロリズマブを足す効果がはっきり示されたのがこの人たちだったからです。

CPSが10未満だった人は、ペムブロリズマブを足しても足さなくても結果に差がなく、抗がん剤だけの治療になります。転移・再発したトリプルネガティブ乳がんのおよそ4割がCPS 10以上でした。

PD-L1の検査にはいくつか種類があります。ペムブロリズマブ(キイトルーダ)では「22C3」という試薬で染めて、がん細胞と免疫細胞をあわせて数えるCPSで判定します。アテゾリズマブ(テセントリク)の検査(SP142、免疫細胞の割合)とは別の検査なので、片方の結果をもう片方に使うことはできません。

検査には手術のときに取った組織も使えますが、再発した場所から新しく取った組織で調べることもあります。

一緒に使う抗がん剤は3つのうちどれかを選ぶ

組み合わせる抗がん剤は、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ゲムシタビン+カルボプラチンの3つから主治医が選びます。試験ではどれを使っても、ペムブロリズマブを足す効果は同じように見られました。

パクリタキセルはアレルギーを防ぐ前投薬が必要で、nab-パクリタキセルはそれがいらないぶん点滴が短くすみます。ゲムシタビン+カルボプラチンは脱毛が少なめですが、血小板が下がりやすく、吐き気止めが必要です。

試験では、手術の前後に使った抗がん剤と同じ種類は、その治療が終わって1年以上たっていないと使えませんでした。手術の前後にタキサン系を使って1年たっていない人では、ゲムシタビン+カルボプラチンが選ばれることが多くなります。

免疫関連有害事象(irAE)について

くわしくは免疫関連有害事象(irAE)のページへ。

この治療を受けた人の4人に1人に、何らかの免疫の副作用が出ました。いちばん多いのは甲状腺で、働きが落ちるのが6人に1人、働きすぎになるのが20人に1人。次いで肺の炎症、大腸炎、皮膚の強い反応が、それぞれ100人に2人ほどです。

重いもの(グレード3以上)は20人に1人でした。ほとんどは治療をいったん休む、ステロイドを使う、足りなくなったホルモンを飲み薬で補う、といった対応で落ち着いています。

抗がん剤の副作用と違って、体のどこに出るか分からないこと、治療が終わってから出ることがあることが特徴です。

臨床試験

  • KEYNOTE-355(無増悪生存)

    転移・再発のトリプルネガティブ乳がん847人を、抗がん剤にペムブロリズマブを足す群と、抗がん剤だけの群に分けた試験です。PD-L1陽性(CPS 10以上)の人では、がんが大きくならずに過ごせた期間の中央値が、ペムブロリズマブを足した群で9.7ヶ月、抗がん剤だけの群で5.6ヶ月でした。

    Cortes J, et al. Lancet. 2020;396:1817-28. PubMed

  • KEYNOTE-355(全生存)

    同じ試験の続報です。PD-L1陽性(CPS 10以上)の人では、生存期間の中央値が、ペムブロリズマブを足した群で23.0ヶ月、抗がん剤だけの群で16.1ヶ月でした。CPS 10未満の人では差がありませんでした。

    Cortes J, et al. N Engl J Med. 2022;387:217-26. PubMed

  • KEYNOTE-355(日本人の解析)

    同じ試験に日本から参加した87人の解析です。PD-L1陽性(CPS 10以上)の28人では、生存期間の中央値が、ペムブロリズマブを足した群で25.9ヶ月、抗がん剤だけの群で18.2ヶ月でした。人数が少ないため幅はありますが、全体の結果と同じ方向でした。

    Hattori M, et al. Cancer Med. 2023;12:10280-93. PubMed

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タグ

薬物療法 副作用 転移・再発 トリプルネガティブ

参考資料

  • 制吐薬適正使用ガイドライン2023年10月改訂 第3版(日本癌治療学会 編)
  • G-CSF適正使用ガイドライン2022年10月改訂 第2版(日本癌治療学会 編)