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レジメン図鑑 化学療法+免疫療法 J021

アテゾリズマブ併用療法(転移・再発)

あてぞりずまぶへいようりょうほう(Atezolizumab plus nab-paclitaxel for advanced triple-negative breast cancer)

ブレきゃん流ひとこと説明

転移・再発したトリプルネガティブ乳がんで、最初に使う治療の候補のひとつだよ。

免疫のブレーキを外してがんを攻撃させる薬、アテゾリズマブ(テセントリク)を、抗がん剤nab-パクリタキセル(アブラキサン)と一緒に使うんだ。

使えるのは腫瘍を検査して「PD-L1陽性」と分かった人だけ。ただしこの検査は、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)のときの検査とは別物だから注意してね。

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PD-L1陽性(SP142、免疫細胞1%以上)の転移・再発トリプルネガティブ乳がんに対する、最初の薬物療法。アテゾリズマブ(2週間に1回)とnab-パクリタキセル(4週間のうち3週、毎週)を組み合わせます。IMpassion130試験で、nab-パクリタキセルだけの治療にくらべて無増悪生存の改善が示されました。全生存は全体では差が確かめられず、PD-L1陽性の人での改善は探索的な解析です。

基本情報

使う場面
PD-L1陽性(免疫細胞1%以上)の転移・再発 トリプルネガティブ乳がん最初の薬物療法として
投与間隔
アテゾリズマブは2週間に1回。nab-パクリタキセルは4週間のうち3週、毎週
期間
効果が続いていて、副作用が許せる限り
催吐性リスク
軽度
使用される薬剤
アテゾリズマブ(テセントリク)nab-パクリタキセル(アブラキサン)
治療する場所
外来

治療スケジュール

最初の12週間
1日目29日目57日目 アテゾリズマブ 2週間に1回 nab-パクリタキセル 4週間のうち3週

以降も同じくり返し。効果と副作用を見ながら続けます。

よくある副作用

症状対処法
脱毛 治療をはじめて2〜3週間後から抜けはじめます。ウィッグや帽子は早めに準備
吐き気 軽いことが多く、必要なら吐き気止めを出してもらえます
手足のしびれ nab-パクリタキセルで出ます。指先から始まり、回を重ねるほど強くなります。ボタンがかけにくい、つまずくなどの支障が出る前に主治医へ
白血球(好中球)の減少 毎週の投与なので、下がりきる前に次の投与日が来ます。血液検査で足りなければその週は休みます。熱が出たらすぐ連絡
咳 アテゾリズマブを足すと増える副作用です。空咳が続く、息切れをともなうときは、肺の炎症のことがあるので連絡
発熱 投与のあとの一時的な熱のこともありますが、白血球が下がっているときの熱と区別がつかないので、38℃以上ならまず連絡
だるさ 治療が長く続くので、だるさが積み重なります。無理をせず休む。強くなってきたら主治医に伝える
甲状腺の働きの変化 免疫の副作用でいちばん多いもの。動悸・汗のあと、だるさ・むくみに変わります。血液検査で見つけて、飲み薬で補います。治療が終わったあとに出ることも
皮膚の発疹・かゆみ 保湿と塗り薬で対応します。広がる、水ぶくれになる、口の中まで荒れるときはすぐ連絡

病院に連絡する目安

すぐに連絡

その他の基準

  • 手足のしびれで、ボタンがかけにくい・つまずく
  • 動悸や汗が続く、または、だるさ・むくみ・寒がりが出てきた
  • 発疹やかゆみが広がってきた
  • 口内炎で食事がとりにくい
  • 眠れない、気分が落ち込む

迷ったら連絡してください。免疫の副作用は治療が終わったあとに出ることもあるので、治療後に気になる症状が出たときも、この治療を受けたことを伝えて相談を。

PD-L1の検査は2種類ある

この治療は、がんの組織を染めてPD-L1というたんぱく質を調べ、陽性だった人だけに使います。ここで使う検査は「SP142」という試薬で、がんのまわりの免疫細胞がどれだけ染まるかを見て、1%以上なら陽性です。

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の検査(22C3、CPS)とは試薬も数え方も違うので、片方の結果をもう片方に使うことはできません。どちらの治療も候補になるときは、両方の検査をすることがあります。

IMpassion130試験では、転移・再発したトリプルネガティブ乳がんのおよそ4割がこの検査で陽性でした。

組み合わせる抗がん剤はnab-パクリタキセルだけ

アテゾリズマブと組み合わせる抗がん剤は、nab-パクリタキセル(アブラキサン)に限られます。

ふつうのパクリタキセルと組み合わせたIMpassion131試験では、アテゾリズマブを足しても効果が変わりませんでした。理由ははっきりしていませんが、パクリタキセルでアレルギーを防ぐために使うステロイドが免疫のはたらきを弱めた可能性が考えられています。

nab-パクリタキセルはステロイドの前投薬がいらない薬なので、この組み合わせだけが認められています。

免疫関連有害事象(irAE)について

くわしくは免疫関連有害事象(irAE)のページへ。

IMpassion130試験では免疫の副作用を広くとって数えており、発疹や肝臓の検査値の変化まで含めると6割の人に何らかの症状が出ました。ただし抗がん剤だけの群でも4割にあり、アテゾリズマブを足してはっきり増えたのは甲状腺の働きの低下(6人に1人)と肺の炎症(100人に3人)です。

甲状腺の副作用はすべて軽いもので、治療をやめた人はいませんでした。足りなくなったホルモンを飲み薬で補って続けます。

抗がん剤の副作用と違って、体のどこに出るか分からないこと、治療が終わってから出ることがあることが特徴です。

臨床試験

  • IMpassion130(無増悪生存)

    転移・再発のトリプルネガティブ乳がん902人を、nab-パクリタキセルにアテゾリズマブを足す群と、nab-パクリタキセルだけの群に分けた試験です。PD-L1陽性の人では、がんが大きくならずに過ごせた期間の中央値が、アテゾリズマブを足した群で7.5ヶ月、nab-パクリタキセルだけの群で5.0ヶ月でした。

    Schmid P, et al. N Engl J Med. 2018;379:2108-21. PubMed

  • IMpassion130(全生存・最終解析)

    同じ試験の続報です。参加者全体では生存期間の差が確かめられませんでした。PD-L1陽性の人に限ると、生存期間の中央値はアテゾリズマブを足した群で25.4ヶ月、nab-パクリタキセルだけの群で17.9ヶ月でしたが、試験の決まりにより、これは探索的な解析にとどまります。

    Emens LA, et al. Ann Oncol. 2021;32:983-93. PubMed

  • IMpassion130(日本人の解析)

    同じ試験に日本から参加した65人の解析です。PD-L1陽性の25人では、がんが大きくならずに過ごせた期間の中央値が、アテゾリズマブを足した群で10.8ヶ月、nab-パクリタキセルだけの群で3.8ヶ月でした。人数が少ないため幅はありますが、全体の結果と同じ方向でした。

    Iwata H, et al. Jpn J Clin Oncol. 2019;49:1083-91. PubMed

  • IMpassion131(パクリタキセルとの組み合わせ)

    抗がん剤をnab-パクリタキセルではなく、ふつうのパクリタキセルにして同じ組み合わせを調べた試験です。PD-L1陽性の人でも、アテゾリズマブを足す効果は見られませんでした。この結果から、組み合わせる抗がん剤はnab-パクリタキセルに限られています。

    Miles D, et al. Ann Oncol. 2021;32:994-1004. PubMed

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タグ

薬物療法 副作用 転移・再発 トリプルネガティブ

参考資料

  • 制吐薬適正使用ガイドライン2023年10月改訂 第3版(日本癌治療学会 編)
  • G-CSF適正使用ガイドライン2022年10月改訂 第2版(日本癌治療学会 編)