「閉経しているかどうかで治療が変わります」と言われても、自分がどちらに当てはまるのか、ピンとこない方も多いですよね。ホルモン療法は「閉経しているかどうか」で大きく中身が変わります。なぜそうなるのか、順番に見ていきましょう。
エストロゲンを作っている場所が違う
エストロゲン産生の違い
- 閉経前:卵巣がメインで大量に作る
- 閉経後:卵巣からはほぼ作らず、脂肪組織で少量
これによって、効く薬が変わります。
閉経前の標準
閉経前ホルモン療法
- 基本:タモキシフェン(5〜10年)
- 高リスク:タモキシフェン+LH-RHアゴニスト
- さらに高リスク:AI剤+LH-RHアゴニスト
- 進行・再発:CDK4/6阻害薬+AI剤+LH-RHアゴニスト等
リスクの大きさに応じて、組み合わせが少しずつ手厚くなっていくイメージです。どれを選ぶかは、主治医があなたの状態を見ながら一緒に考えてくれます。
閉経後の標準
閉経後ホルモン療法
- 基本:AI剤(レトロゾール・アナストロゾール・エキセメスタン)
- AI剤の副作用つらい:タモキシフェンに変更
- 進行・再発:CDK4/6阻害薬+AI剤またはフルベストラント
なぜ閉経後はAI剤がいい?
AI剤は脂肪組織で作られるエストロゲンを止める薬。
閉経前は卵巣からのエストロゲンが多すぎて、AI剤だけでは抑えきれません。だから閉経前にはLH-RHアゴニストで卵巣も止める必要があります。
「閉経」の定義
周閉経期:判断が難しい
閉経のちょうど境目にあたる時期は、いちばん判断が難しいところです。40代後半〜50代前半の方は、
- 月経が不規則
- 抗がん剤で一時的に止まった
- 完全に閉経したか不明
ということがあります。このような場合は、
- 採血でホルモン値(FSH・エストラジオール)を測る
- 数ヶ月〜1年経過観察
- 慎重に判断
します。すぐに結論が出なくても、焦らなくて大丈夫。時間をかけて見極めることも、大切な判断のひとつです。
化学的閉経との違い
LH-RHアゴニストで作る人工的な閉経状態は、薬の効果がある限り続きますが、中止すれば多くは月経が戻ります。
これは「自然な閉経」とは違い、治療の一環として可逆的なものです。
まとめ
閉経前か後かで治療が変わるのは、体のしくみに合わせて、いちばん効く方法を選ぶためです。自分がどちらなのか不安なときは、遠慮なく主治医に聞いてみてくださいね。一緒に確かめながら進めていけば大丈夫です。
※この記事は一般的な医学情報です。実際の治療方針は、病状、検査結果、体調、価値観によって異なります。必ず主治医と相談してください。