ホルモン療法とは

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「ホルモン療法って何?」
「抗がん剤とは違うの?」

そんな疑問を持つ方も多いと思います。

ホルモン療法は、乳がんの薬物療法の中でもっとも多く行われている治療。日本人乳がんの約70%を占めるホルモン陽性乳がんで、治療の柱になります。

ホルモン療法とは?

ホルモン療法とは、女性ホルモン(エストロゲン)を利用して増える乳がんの成長を止める治療です。

女性ホルモンは、ホルモン陽性乳がんにとっての エサ。ホルモン療法は:

  • 女性ホルモンを 作らせない
  • 女性ホルモンを 食べられないようにする

ことで、がんを兵糧攻めにする治療 です。

抗がん剤のように直接がん細胞を攻撃する薬ではなく、栄養を断つことで増えにくくする、というアプローチです。

ブレきゃん!

抗がん剤が「直接攻撃」なら、ホルモン療法は「補給路を断つ」作戦。
地味だけど、長く効き続ける重要な治療なんだ。

いつ行う?

多くの場合、手術後の再発予防 として行われます。

ステージⅠ以上の乳がんの場合、手術で乳がんを取り除いても、体のどこかに目に見えない「がんのタネ」が残っている可能性があります。ホルモン療法は、そのタネが将来増えてくるのを 長期間おさえ続ける治療 です。

進行・再発時にも、ホルモン療法は治療の中心の一つになります。

期間:5〜10年の長期戦

ホルモン療法は 5〜10年 続くのが一般的です。

なぜそんなに長いのか——ホルモン陽性乳がんは ゆっくり大きくなるタイプ だから。短期決戦ではなく、長くおさえ続ける必要があります。

実際には、再発リスクによって:

  • 5年(標準)
  • 7年(中リスク)
  • 10年(高リスク)

と治療期間を調整します。詳しくは No.2106 ホルモン療法はいつまで続けるか を。

3つの薬剤クラス

ホルモン療法は大きく3つのアプローチがあります。

① SERM(タモキシフェンなど)

SERM=Selective Estrogen Receptor Modulator(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)

代表的な薬:タモキシフェン(ノルバデックス)

タモキシフェンは、女性ホルモンにそっくりな形の薬。がん細胞の「ホルモンを食べる口(ER)」にくっついて、エストロゲンが食べられないようにふさぎます。

  • 女性ホルモンが来ても、ERが「ふさがれている」ので受け取れない
  • がんは栄養を取り込めなくなり、増えにくくなる
  • 閉経前・閉経後どちらでも使える

主に閉経前の方の標準治療。閉経後でも、アロマターゼ阻害薬の副作用が強い場合に切り替える選択肢になります。

② アロマターゼ阻害薬(AI:Aromatase Inhibitor)

代表的な薬:

  • レトロゾール(フェマーラ)
  • アナストロゾール(アリミデックス)
  • エキセメスタン(アロマシン)

閉経後の女性では、女性ホルモンは 脂肪組織で男性ホルモンを変換して作られる ようになります。このとき働く酵素が アロマターゼ

アロマターゼ阻害薬は、この アロマターゼの働きを止めて女性ホルモンを作らせない 薬です。

  • 主に 閉経後の方 で使う(閉経前は卵巣で大量に作られるので効きにくい)
  • 飲み薬、1日1回
  • 関節痛・骨密度低下・コレステロール上昇などの副作用に注意

③ LH-RHアゴニスト(卵巣機能を抑える)

代表的な薬:

  • リュープロレリン(リュープリン)
  • ゴセレリン(ゾラデックス)

閉経前の方では、卵巣が女性ホルモンを大量に作っています。卵巣の働きを一時的に止める薬が LH-RHアゴニスト

脳から卵巣に出る「卵巣を働かせる指令」を抑えることで、卵巣を眠らせ、人工的な閉経状態 を作ります。

  • 注射で投与(1ヶ月製剤・3ヶ月製剤・6ヶ月製剤)
  • 通常、タモキシフェンやAI剤と併用
  • 中止後は卵巣機能が回復することが多い

詳しくは No.2052 LH-RHアゴニストとは を。

④ 進行・再発例で使う薬

  • フルベストラント(フェソロデックス):ERを分解する注射剤(SERD)
  • イムルネストラント(イムルリオ):経口SERD(ESR1変異がある場合)
  • CDK4/6阻害薬:ホルモン療法に追加する分子標的薬

進行・再発例では、CDK4/6阻害薬+ホルモン療法が1次治療の標準です。詳しくは No.2107 転移再発乳がんのホルモン療法 を。

主な副作用

ホルモン療法は抗がん剤より副作用は軽いことが多いですが、ホルモンを抑えるため更年期症状のような症状 が出ることがあります。

ホルモン療法の主な副作用

    • ホットフラッシュ(顔のほてり、急な発汗)
    • 関節痛(特にアロマターゼ阻害薬)
    • 骨密度低下(特にアロマターゼ阻害薬)
    • 気分の変化・抑うつ気分
    • 性交痛・膣の乾燥
    • 子宮体がんリスクの軽度上昇(タモキシフェン)
    • 血栓症(タモキシフェン)

すべての方に出るわけではありません。つらい場合は 薬の変更・休薬・漢方薬・対症療法などで対処できます。我慢せず主治医に相談を。

詳しくは No.2050 ホットフラッシュ・更年期症状No.2030 ホルモン療法と骨粗鬆症 を。

ホルモン療法と抗がん剤、どっちが大事?

患者さんからよく聞かれる質問です。

実は、ホルモン陽性乳がんではホルモン療法が再発予防の中心。抗がん剤が効きにくい場合もあります。

抗がん剤を併用した場合でも、そのあとにホルモン療法を長く続けること が再発予防にとても大切です。

まとめ

長い付き合いになる治療ですが、再発リスクを下げる とても大切な治療 です。主治医と相談しながら、無理なく続けていきましょう。

※この記事は一般的な医学情報です。実際の治療方針は、病状、検査結果、体調、価値観によって異なります。必ず主治医と相談してください。

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