パルボシクリブ
ぱるぼしくりぶ (イブランス)
がん細胞の「分裂のアクセル(CDK4/6)」を踏めなくする、ホルモン療法のパートナー薬。
基本情報
- 分類
- CDK4/6阻害薬
- はたらき
- 分裂のアクセル(CDK4/6)を止める
- のみ方・打ち方
- 飲み薬
- 使う場面
- ホルモン陽性・HER2陽性 転移・再発
よくある副作用
- 好中球減少(特徴的・80%以上に出現)
- 倦怠感
- 口内炎
- 吐き気・食欲不振
- 下痢(軽め)
- 髪が少し薄くなることがある(抗がん剤のような脱毛はなし)
注意したい副作用
- 重度の好中球減少(発熱性好中球減少症はまれ)
- まれに間質性肺炎
- まれに重度の肝機能異常
どんな人が対象?
進行・再発のホルモン陽性HER2陰性乳がん の治療で、ホルモン療法(AI またはフルベストラント)と併用して使う分子標的薬。
・進行・再発の1次・2次治療
・アロマターゼ阻害薬(AI)+パルボシクリブ
・フルベストラント+パルボシクリブ
2026年9月からは、ホルモン陽性HER2陽性の転移・再発乳がんにも使えるようになりました。抗がん剤の治療がひと区切りついたあと、抗HER2療法(トラスツズマブ+ペルツズマブ、またはトラスツズマブ)とホルモン療法を続ける「維持療法」に、パルボシクリブを足す使い方です。根拠はPATINA試験で、足した群は足さなかった群にくらべて、がんが進む・亡くなるリスクが24%低くなりました。副作用は白血球・好中球の減少が中心で、これまでと同じです。
どうやって効く?
がん細胞は「CDK4/6」というスイッチを使って分裂のアクセルを踏みます。パルボシクリブはこの CDK4/6 をブロック することで、がん細胞のアクセルを踏めなくします。
ホルモン療法(兵糧攻め)と組み合わせると、エサも絶ち、アクセルも止めるので 強力な相乗効果 が出ます。
副作用の特徴:好中球減少が出やすい
CDK4/6 は骨髄細胞の分裂にも関わっているため、好中球減少が起こりやすい(80%以上)。ただし:
・多くは 無症状の検査値異常
・発熱性好中球減少症(FN)に進むことは少ない
・21日内服 → 7日休薬の 休薬期間に回復する 設計
定期的な血液検査で監視しながら、必要に応じて休薬期間を延ばします。
服薬の注意
・空腹時でも食後でもOK(食事の影響なし)
・グレープフルーツは禁忌(濃度が上がりすぎる)
・カプセル(または錠剤)として 1日1回服用
アベマシクリブ(ベージニオ)との違い
投与スケジュール/パルボシクリブ 21日内服→7日休薬/アベマシクリブ 毎日休薬なし
主な副作用/パルボシクリブ 好中球減少/アベマシクリブ 下痢(特に初期)
適応/パルボシクリブ 進行・再発(ホルモン陽性HER2陰性。2026年9月からホルモン陽性HER2陽性の化学療法後の維持療法も)/アベマシクリブ 進行・再発+高リスク術後
食事・飲み合わせ
食事:
・グレープフルーツ禁忌(濃度上昇)
他の薬:
・強いCYP3A4阻害薬(一部の抗真菌薬など):併用注意
妊娠・授乳
この薬は妊娠中・授乳中には使えません。使っている期間の避妊について、主治医に確認してください。