乳がん.comレジメン図鑑 › 化学療法 › AC/EC療法

レジメン図鑑 化学療法 J001

AC療法/EC療法

えーしーいーしーりょうほう(AC / EC regimen)

概要

アンスラサイクリン系薬剤とシクロホスファミドによる2剤併用の点滴治療。3週間に1回を4サイクルくり返します。周術期治療の中核をなすレジメンで、多くはこのあとタキサン系薬剤へ移行します。

ブレきゃん流ひとこと説明

乳がんの化学療法の土台にあたる組み合わせです。1980年代から使われてきた分、副作用の出かたも対処法もよく分かっています。

ACとECは日本では同列。名前が違っても、通う回数もやることも変わりません。

使う場面
術前化学療法/術後化学療法
投与間隔
3週間に1回
サイクル数
4サイクル(およそ12週間)
催吐性リスク
高度(4段階でもっとも強い区分)
よくセットで行うもの
多くはこのあとタキサン系薬剤へ

つかう薬

くすりの説明書

国(PMDA)が公開している文書です。ご自身が受け取った薬の名前で探してください。

ドキソルビシン塩酸塩

先発アドリアシン注用10/アドリアシン注用50

サンド

添付文書 患者向けガイド インタビューフォーム

添付文書 2022年11月24日 改訂

後発品をみる(2件)

ドキソルビシン塩酸塩注射用10mg「NK」/ドキソルビシン塩酸塩注射用50mg「NK」

日本化薬

添付文書 患者向けガイド インタビューフォーム

添付文書 2025年9月10日 改訂

ドキソルビシン塩酸塩注射液10mg「サンド」/ドキソルビシン塩酸塩注射液50mg「サンド」

サンド

添付文書 インタビューフォーム

添付文書 2023年7月27日 改訂

シクロホスファミド水和物

先発注射用エンドキサン100mg/注射用エンドキサン500mg

塩野義製薬

添付文書 患者向けガイド インタビューフォーム

添付文書 2024年2月9日 改訂

吐き気を防ぐ薬

AC/EC療法は高度催吐性リスクに分類されます。制吐薬は4剤を併用するのが基本です。

  • 5-HT3受容体拮抗薬
  • NK1受容体拮抗薬
  • デキサメタゾン(ステロイド)
  • オランザピン 5mgを1日目から4日目の夕食後

糖尿病がある場合、日本ではオランザピンが禁忌です。残る3剤で予防します。

オランザピンは眠気が出やすい薬です。ただし強い眠気が増えるという結果ではありません。

制吐薬適正使用ガイドライン2023年10月改訂 第3版(日本癌治療学会 編)を元に作成

重い副作用

割合はNSABP B-15試験より一部引用。

  • 好中球が減っている時期の発熱。緊急の対応が必要です。時間帯を問わず病院へ連絡してください。

  • うち症状を伴ったものは0.1%。アンスラサイクリン系には生涯総投与量の上限があり、ドキソルビシン換算500mg/m²が目安です。

  • 治療から年単位を経て、白血病や骨髄異形成症候群が生じることがあります。頻度は不明。

  • 血管外に漏れると皮膚障害を起こします。点滴中の痛み・はれは、その場で知らせてください。

他の副作用もみる
  • 脱毛 92.4%

    うち完全脱毛が69.5%。

  • 制吐薬がなかった時代の数字。下の表を参照。

  • 体重増加 14.4%
  • 体重減少 8.6%
  • 発熱 5.5%
  • グレード3以上の割合。

  • 下痢 2.9%
  • 感染症 2.4%

発熱性好中球減少症は頻度を載せていません。同じレジメンでも試験によって数値が大きく異なり、一つの数字に代表させられないためです。

Fisher B, et al. J Clin Oncol. 1990;8:1483-1496.(NSABP B-15試験)

嘔吐・吐き気の詳細

症状がでやすい時期

区分時期
急性期 投与当日(24時間以内)
遅発期 2〜5日目(24〜120時間)
超遅発期 5日目以降も続くことがあります

制吐薬適正使用ガイドライン2023年10月改訂 第3版(日本癌治療学会 編)を元に作成

吐き気を防ぐ薬の効果

何を数えたか割合
制吐薬なしの時代 吐き気か嘔吐があった 91.4%
現在の制吐療法 5日間 嘔吐なし 46.9%

上はNSABP B-15試験(1990年)、下はIto 2018。試験も年代も対象も異なるため、この2つを差し引きすることはできません。同じレジメンでも、制吐療法がこの36年で変わったことを示す数字です。

ACとECの違い

アンスラサイクリン系に何を用いるかの違いです。ACはドキソルビシン、ECはエピルビシンシクロホスファミドはどちらにも入ります。

日本ではこの2つを同列に扱っており、どちらを選ぶかは施設の方針によります。投与間隔・サイクル数・制吐療法は共通です。

よくセットで行われるレジメン

AC/EC療法だけで完結することもありますが、多くはこのあとタキサン系薬剤へ移ります。合わせておよそ6か月。

つなぎ方は、腫瘍の性質と再発リスクによって変わります。

治療の遅延

NSABP B-15試験では、予定より遅れたサイクルがあった方が15.6%。血球の回復を待って1週間ずらすことは珍しくありません。

尿の色が変わることがあります

ドキソルビシンを用いた場合、投与後1〜2日は尿が赤〜オレンジ色になります。薬剤そのものの色で、血尿ではありません。

関連するレジメン

関連する用語

関連する治療チャート

タグ

薬物療法 副作用 方針決定(術前) 術前治療 術後治療 ホルモン陽性 トリプルネガティブ

参考資料

  • 乳癌診療ガイドライン2026年版(日本乳癌学会 編)
  • 制吐薬適正使用ガイドライン2023年10月改訂 第3版(日本癌治療学会 編)
  • G-CSF適正使用ガイドライン2022年10月改訂 第2版(日本癌治療学会 編)
  • Fisher B, et al. J Clin Oncol. 1990;8:1483-1496.(NSABP B-15試験)
  • Ito Y, et al. J Clin Oncol. 2018;36:1000-1006.