全摘と部分切除だけじゃない?7つの乳がん手術とは

現代の乳がん治療では、いまのところ 手術を上回る治療はまだありません

そんな乳がん手術ですが、実は 全摘(乳房全切除術)と部分切除術以外にもいくつか種類 があるんです。

今回は、乳癌取り扱い規約 第19版で定義されている、7つの乳がん手術 について解説していきます。

① 腫瘍摘出術(Tm)

しこりだけを くり抜いてくる 手術。切除生検 と呼ばれることもあります。

事前の検査(針生検など)でがんだと確証が得られなかったものに行う手術です。

② 乳房部分切除術(Bp)

しこりとそのまわりに少しだけ余白をつけて、パンケーキのように切りとる 手術。

しこりが比較的小さく、乳頭から離れているとき、切除後の乳房の形の変化が小さいと予想されるときに行います。

乳腺が残るため、そこからの再発を減らすために、放射線治療がセット で行われます。

部分切除(Bp)の詳細

    • 適応:しこりが比較的小さい・複数箇所にがんがない・放射線治療が受けられる
    • :しこり真上の皮膚(しこりの大きさ+3〜4cm程度)
    • わきの傷:脇の下に3〜5cmの追加切開(センチネルリンパ節生検のため)
    • 入院:3〜4日〜1週間程度
    • 術後放射線治療が必須(通常分割で25〜30回、寡分割なら16回。boost追加で5回程度延びる場合あり)
    • 再発リスク:放射線治療と組み合わせることで、全摘と同等まで下がる

詳しい選び方は No.3001 全摘と部分切除をどう選ぶか を。

③ 乳房全切除術(Bt)

乳頭・乳輪を含めた、全てのミルクの管を切りとる 手術。

しこりが小さくても大きくても、乳頭が近くても遠くてもできる手術ですが、胸のふくらみはなくなってしまう のが特徴です。

全切除(Bt)の詳細

    • 適応:しこりが大きい(3〜4cm超)・複数箇所・放射線治療が受けられない・HBOC 確定診断
    • :しこりの真上+乳輪・乳頭を含んだラグビーボール状にデザイン、10〜15cm
    • わきの傷:乳房の傷から同時にできるため、傷は1か所のみ
    • 入院:1〜2週間程度
    • ドレーン:術後、乳腺をくりぬいた空間にリンパ液がたまるため、排液管を1〜2本入れる(1日50〜100ml)
    • 退院:ドレーンの排液が50ml/日を下回ったら抜いて退院
    • 術後の放射線:原則不要(リンパ節転移が多いなど高リスク例では追加)
    • 再発リスク:その胸での再発リスクはほぼゼロに近い(胸壁・皮膚での局所再発は5年で2〜5%程度)

④ 乳管腺葉区域切除術(Md)

乳頭から 色がついた液体を注入 して、色が染まったミルクの管の範囲だけを切りとる手術。

  • 乳頭から 分泌物 が出ていて
  • そこに がん細胞が含まれていると診断された のに
  • しこりの範囲がわかりにくい とき

に行います。

⑤ 皮膚温存乳房全切除術(SSM)

乳頭乳輪をくりぬいて皮膚をなるべく残しながら 乳房を全切除する手術。

皮膚がたくさん余るので、再建を行うことが前提 です。

しこりの真上の皮膚をとらないため、皮膚からしこりがしっかり離れていること が必要です。

乳頭はとるため、がんが乳頭に近くてもできる手術 です。

⑥ 乳頭温存乳房全切除術(NSM)

乳房の外側や下側から切り込んで、乳頭だけを残してミルクの管を全て切りとる 手術。

こちらも皮膚が余るため 再建が前提 です。

乳頭からも皮膚からもがんが離れている 必要があります。

⑦ ラジオ波焼灼術(RFA)

切らなくてもがんをなくすことができる最先端の手術です。

先端が熱くなる針を刺して、熱でがんとその周りを焼ききります

RFAの適応

    • 1.5cm以下で非常に小さい
    • 皮膚や筋肉から離れている
    • リンパ節転移がない

ただし、

  • 比較的新しい手術のため、できる施設が限られている
  • しこりを焼いてしまうため、しこりのタイプやひろがりは針生検や画像検査でしか判断できない

が弱点になります。

手術方法はどうやって決まる?

このように、実はたくさんある乳がん手術。みなさんもご自身の価値観と照らし合わせて、主治医の先生とよく相談して術式を決めてくださいね☺️

※この記事は一般的な医学情報です。実際の治療方針は、病状、検査結果、体調、価値観によって異なります。必ず主治医と相談してください。

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