HER2
はーつー(Human Epidermal growth factor Receptor 2)
概要
乳がんの約10〜15%で細胞膜上に存在する受容体型チロシンキナーゼ。ERBB2遺伝子によって作られる。ほかのHERファミリー受容体と二量体を形成すると、PI3K–AKT経路やMAPK経路などを介して、細胞の増殖や生存に関わるシグナルを伝える。抗HER2療法の適応を決める重要なバイオマーカーとして用いられる。
HER2はがん細胞の表面にある、「もっと増えなさい」という体からの命令を受け取るアンテナのようなタンパクのこと。このアンテナがたくさんある乳がんは増えるのが速いんだ。
でもそのぶん、アンテナを狙い撃ちする薬(抗HER2療法)がとてもよく効く。だから陽性かどうかを必ず調べるんだね。
- 関係するひと
- 乳がんと診断されたひと全員
- 関係する治療
- 抗HER2療法
- 調べる方法
- CNB(針生検)VAB(吸引式組織生検)手術の結果免疫染色FISH法
陽性/陰性の判定
免疫染色をおこない、以下のいずれかを用いて判定します。
免疫染色(IHC)
がん細胞の膜がどう染まるかで、0・1+・2+・3+の4段階に分け、陽性/陰性の2段階で判定します。
2+のときはこの検査だけでは決まらず、FISH法で確定させます。
※手術不能または再発乳がんではT-DXd(トラスツズマブ デルクステカン)の適用を決定するためにさらに陽性/低発現/超低発現/無発現(null)の4段階に分類されます
| IHCスコア | 染まり方 | 判定 | T-DXd適応決定カテゴリー |
|---|---|---|---|
| 3+ | 10%を超えるがん細胞に、強い完全な全周性の膜染色が認められる | 陽性 | — |
| 2+(FISH陽性) | 10%を超えるがん細胞に、弱い/中等度の全周性の膜染色が認められる | 陽性 | — |
| 2+(FISH陰性) | 同上 | 陰性 | 低発現(low) |
| 1+ | 10%を超えるがん細胞に、かすかな/かろうじて認識できる不完全な膜染色が認められる | 陰性 | 低発現(low) |
| 0(膜染色あり) | 10%以下のがん細胞に、かすかな/かろうじて認識できる不完全な膜染色が認められる | 陰性 | 超低発現(ultralow) |
| 0(膜染色なし) | がん細胞に染色像が認められない | 陰性 | 無発現(null) |
固形癌HER2病理診断ガイダンス 第3版(日本病理学会 編)を元に作成
関連データ
日本での分布
- 陽性 13%
- 陰性 73%
- 判定不能・不明 14%
全国乳がん患者登録調査報告第55号2024年次症例を元に作成
判定の流れ
- 免疫染色(IHC)で 0・1+・2+・3+ のどれかを判定する
- 3+ なら陽性、0 または 1+ なら陰性が決まる
- 2+ のときはFISH法に進み、遺伝子が増えているかで陽性・陰性を確定させる
アンケート結果
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関連する状態・分類
HER2-lowHER2-ultralowホルモン陽性・HER2陽性乳がんホルモン陰性・HER2陽性乳がんトリプルネガティブ乳がん
関連する用語
ホルモン陰性・HER2陽性乳がんホルモン陽性・HER2陽性乳がんサブタイプER(エストロゲン受容体)組織学的グレード組織型ホルモン受容体ホルモン陽性・HER2陰性乳がん抗HER2療法FISH法
関連するお薬
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